こんにちは。リキュアの堀ノ江です。
前回最後にうつ病の素因としてSITH-1が発見された事をお伝えしました。
今回はSITH-1がどうして素因となるのかについてお伝えしていきます。
健常人と比較してのオッズ比が12.2
このオッズ比はSITH-1結合物に対しての抗体がある人と無い人の比です。
簡単に言うと抗体がある人は無い人に対して12.2倍うつ病になりやすいという事が分かったのです。
基準としてある遺伝子が疾患関連遺伝子かどうかを判断する基準はオッズ比1.2とされています。
上記の基準と比べると、とても大きな数字という事が分かります。
SITH-1による影響
では、SITH-1はどのように身体に影響しているのか。
SIHT-1はHHV-6(ヒトヘルペスウィルス)がアストロサイト(脳の免疫機能に関係する細胞)で潜伏感染している時に発現している潜伏感染遺伝子です。
簡単にいうとアストロサイトでじっと待機している時できる遺伝子という事です。
このSITH-1は同じ名前であるSIHT-1という小さなたんぱく質を産生しています。
これらは嗅球(嗅覚の中枢)のアストロサイトで潜伏感染しています。
そこで作られたSIHT-1はCAMLという細胞内のカルシウム濃度を上昇させる性質を持つたんぱく質と結合します。
結合する事で細胞内のCAMLを増加させ、カルシウム濃度を上昇させる働きを強めています。
カルシウム濃度が上昇する事で何が起こるのか。
動物実験ではカルシウム濃度の上昇が強まるとアポトーシス(細胞の自然死)が起こり、うつ病に特徴的な症状が出現しました。
つまり、SITH-1による嗅球でのアポトーシス誘発がうつ病に影響している可能性がある事が分かったのです。
コレを人で再現する事は研究では難しいため、SIHT-1とCAMLの結合物に対しての抗体量を調べたところ、上記のオッズ比が確認できたという事です。
結果、うつ病の素因としてSIHT-1が大きく関与している事がわかりました。
最後に
今回は素因の部分についてお伝えしました。
次回は環境因についてお伝えしていきます。
ご興味のある方は是非見て下さい。
参考文献:「疲労とはなにか」 近藤一博 著
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