こんにちは
リキュア横浜中山院の池田です。
今回は私の中で健康のためには調味料の中では『油』の次に大事だと思う『塩』についてです。
また、意外と塩についてのご質問を受ける事も多いのでまとめてみたいと思います。
ですが、塩は単純なようでかなり複雑です。
そして説明するのも難しく、本格的に書くとかなりマニアックになってしまいます。
出来るだけ噛み砕いて書いていきますので、是非最後まで読んでみてください。
塩の起源と歴史
塩はナトリウム(Na)と塩素(Cl)の化合物で、化学的な名称を塩化ナトリウム(NaCl)といいます。
塩の起源や歴史は非常に古く、人類の歴史に深く結びついています。
そもそも地球ではじめての生命は約35億年前、海の中で誕生したと言われています。
それは様々な海水の無機質から有機物が生まれたということです。
最初に塩を利用したのは古代の人々で、彼らは海岸や塩湖から塩を集め、それを食材の保存や調味料として利用していたと考えられます。
また、塩は古代文明においても非常に重要な資源でした。
古代エジプトでは、ミイラの防腐処理に塩が使用されていました。交易品としても重要でエジプトの経済に大きく寄与していました。
ローマ帝国では、兵士への給料としても支払われたことから、「サラリーマン」の語源であるラテン語の「サラリウム」=「塩の支給」という言葉が生まれました。
塩の種類
塩には様々な種類があり、出所や製法によって名称が変わります。
ここでは大きく『自然塩』と『精製塩』に分けて書きます。
【自然塩】
① 海塩
塩と言えば海塩が一番メジャーですね。
海水を蒸発させて作られる塩です。
ミネラルが豊富で、風味が豊かです。
フランスのゲランド塩や日本の塩田塩が有名です。
② 岩塩
岩塩は、はるか昔に海であった土地が地殻変動により地中に埋まり、海水の塩分が結晶化した地層(地下)から採掘できます。
岩塩で有名なヒマラヤ岩塩は、ヒマラヤ山脈も元々は海の底だったから採れるのです。
岩塩は結晶が大きく、硬いのが特徴的です。
食用だけでなく、バスソルトやインテリアとしても利用されます。
③ 湖塩
塩湖から採取される塩です。
ボリビアのウユニ塩湖やアメリカのグレートソルトレイクが有名です。
④ 井塩(せいえん)
あまり出回ってはいませんが、塩を含んだ塩化物泉の温泉・地下水から製塩が行われ、井塩が製造されています。
【精製塩】
天然の塩を化学的または物理的な手法で精製し、不純物を取り除いた塩です。
最も一般的に出回っている塩で、塩化ナトリウムが主成分(99%以上)です。
料理や保存食の製造、工業用など広く使われますが、精製され過ぎてミネラル分が取り除かれています。
塩の成分と健康効果
塩は主に塩化ナトリウムで構成されていますが、自然塩にはカルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルも含まれています。
適量の塩は体液のバランスを保ち、神経伝達や筋肉の収縮に必要ですが、過剰な摂取は高血圧や心臓病のリスクを高めることがあります。
こちらについては後ほど詳しく書いていきたいと思います。
塩の適切な摂取量
様々な機関で推奨量を出しています。
世界保健機関(WHO)では、成人の1日当たりの塩分摂取量を5グラム未満とすることを推奨しています。
日本の『日本人の食事摂取基準』では、1日の塩分摂取量を男性成人で10g以下、女性成人で8g以下を推奨しています。
海水の塩分とその成分
それでは本題の『塩』について詳しく書いていきます。
塩は前述したように主に海水から作られます。
海水の塩分濃度は平均で約3.4%で、ほとんどが水です。
つまり、96.6%の水に3.4%の「塩」が溶けているようなイメージです。
この3.4%には主に塩化ナトリウム(NaCl)が含まれており、全体の約75%を占めます。
残りの25%は他の無機質で、その種類は数十種類に及び、全体で約100種類近くになります。
これらの成分は地球上の海でほぼ同じ割合です。
海水の味の複雑さ
海水に含まれる無機質は、ナトリウム分、マグネシウム分、カルシウム分、カリウム分の4つが代表的です。
・ナトリウム分 = 塩化ナトリウム(NaCl)
・マグネシウム分 = 塩化マグネシウム(MgCl2)と硫酸マグネシウム(MgSO4)
・カルシウム分 = 硫酸カルシウム(CaSO4)
・カリウム分 = 塩化カリウム(KCl)
これらの成分はそれぞれ異なる味を持ち、海水の味わいを単なる『塩辛い』ものではなく、複雑で多様なものにしています。
また、成分ごとに溶解度(溶けやすい・溶けにくい)が異なり、これは塩作りにおいて重要な要素となります。
塩作りの基本原理
塩作りは、海水を蒸発させて濃縮し、各成分を固体(塩)として析出させる工程です。
濃縮が進むと、まず溶けにくいカルシウム分が約13%で析出し始め、20%ぐらいの塩分濃度ではカルシウム分だけが塩(固形)になります。
その後、約25%でナトリウム分、さらに約27%でカリウム分やマグネシウム分が析出し、塩(固形)になっていきます。
特にマグネシウム分は苦味が強いため、適切なタイミングで塩を引き上げ、苦味を抑える必要があります。
大事なのは、海水中の各成分はその比率を保ちながら全部一緒に塩(固体)になっていくのではなく、決まった別々のタイミングで塩(固体)になっていくということです。
そして残った母液はマグネシウム分の多い液体となるのでにがりの成分となります。
※析出=液状の物質から結晶または固体状成分が分離して出てくること。
塩の成分と味の違い
海水を濃縮することで、成分はそれぞれ異なるタイミングで析出します。
このタイミングを調整することで、出来上がる塩の成分や味が決まります。
一般的な天日塩(精製塩)ではナトリウム分だけを選び取るために成分を分離する手法が使われます。
製法による違い
塩の製法には天日製法や釜焚き製法などがありますが、最終的な塩の成分や味は、製造過程全体を通じて決まります。
現在、世界の天日塩の生産では、工業化による大量生産により、ナトリウム分だけを採ろうとする製法が圧倒的に主流です。
これはナトリウム分だけを採るために、カルシウム分・カリウム分・マグネシウム分が含まれないようにします。
例えば、カルシウム分が析出を終えた25%から塩を採り始め、また、27~28%以降ナトリウム分とともに含まれるカリウム分・マグネシウム分は、ナトリウム分よりも溶けやすい性質を使って、『塩を洗う』ことで落とします。
これには良い面もあれば悪い面も存在します。
ざっと塩の作り方や違いを書いてきましたが、如何でしたでしょうか?
次回は、良い塩の選び方や、塩と健康について書きたいと思います。
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