こんにちは。リキュアの堀ノ江です。
前回のブログで、活性酸素が疲労の原因という事をお伝えしました。
しかし活性酸素は直接的な原因ではなくあくまで疲労要因の一つであり、実はいくつもの要素が組み合わさって疲労は形成されているのです。
まずはその説明からお伝えし、対策に入っていきたいと思います。
疲労と疲労感の定義
活性酸素が直接的な原因でない事をお伝えするには、「疲労」と「疲労感」の定義の違いから話す必要があります。
疲労とは「疲労感の原因となる体の障害や機能低下」の事である。
疲労感とは「休みたいという気持ち(休養の願望)」の事である。
疲労感は炎症性サイトカインを脳が感知すると現れます。
つまり疲労は炎症性サイトカインを誘発するものという事になります。
しかし活性酸素が直接の原因と考えた時、変性したタンパク質(酸化ラジカルにより)を除去するために炎症性サイトカインが産生されることになります。(自己免疫反応)
免疫反応とは異物に対して、除去するように反応で、これが自身に向けられる反応だと自己免疫反応と言われます。
このように考えると疲労するたびに自己免疫反応が起こっている事になります。
この反応が生じると、周囲の組織も標的にして次々と連鎖的に自己免疫反応が続き、「自己免疫疾患」という慢性で難治性な疾患に繋がります。
そのため疲労の度にそのような反応が起こっていることはないと判断できます。
疲労感の原因である炎症性サイトカインはどのように産生されるのか
上記より、疲労感の原因である炎症性サイトカインは免疫反応として産生されているわけではないという事が分かりました。
活性酸素が一つの要因でしかない理由はここからお話ししていきます。
まず前回お伝えしたように、運動性要因(筋肉疲労)、精神性要因(仕事のストレス)、感染性要因(ウィルス感染)の各ストレスが発生した場合、活性酸素はより多く放出されます。
また活性酸素による酸化ストレスの他に、アミノ酸不足、ウィルス感染、小胞体ストレスを受けると、eIF2αリン酸化酵素が発生します。
この酵素の働きにより、eIF2α(真核生物翻訳開始因子)のリン酸化が起こります。
これはeIF2αが各ストレスにより正常なタンパク質合成ができなくなってしまうため、タンパク質合成をストップさせるためにリン酸化が起こります。(統合的ストレス応答:ISR)
その後ISRによりタンパク質合成が止まる代わりに、ストレスに応答するためのタンパク質が合成されます。
このタンパク質によりヘルペスウィルスであるHVV6の再活性、炎症性サイトカイン、アポトーシス(細胞死)の誘導が起こります。
つまり炎症性サイトカインはISRのストレス応答によって合成されたタンパク質が原因となって発生しているのです。
対策
定義を疲労感メカニズムから紐づけていくと
疲労とは「ISRを引き起こすeIF2αのリン酸化による細胞の停止や細胞死」の事である。
疲労感とは「ISRによって産生された炎症性サイトカインが脳に伝わって生じる感覚」の事である。
では、これらに対しての対策は何が出来るか。
一番はストレスをなくしてリン酸化を防ぐことですが、eIF2αリン酸化酵素が反応するストレスは仕事や運動など日常生活にありふれた事です。
そのため現実的ではありません。
他に可能な事としては、リン酸化eIF2α脱リン酸化酵素というeIF2αのリン酸化を解く酵素を増やす事です。
厳密に言うとリン酸化の指標となる「ATF3」よりもリン酸化eIF2α脱リン酸化酵素である「GADD34」や「CReP」の産生される比率が大くなれば疲労が起こっても回復しやすい身体状況になるいうことです。
つまり原因をなくすのではなく、回復力を高める対策です。
方法としては軽い負荷での運動、4種類の栄養成分の摂取の2つです。
●軽い負荷での運動
研究ではエアロバイクを無理のないペースで1時間漕ぐ運動を1~3ヶ月行った際にリン酸化eIF2α脱リン酸化酵素の比率の向上がみられたとのことです。
(ちなみにエアロバイクの「非常に楽~楽からほどほど」な負荷量としては3.5~4.8METsです。)
*個人個人で適度な負荷量は違うので上記METsは参考程度に
●4種類の栄養成分(効果:リン酸化eIF2α脱リン酸化酵素の増加、心臓における炎症性サイトカイン産生の抑制)
・ ガンマ・オリザノール:米糠に含まれる成分
・ ケルセチン:玉ねぎやリンゴに多く含まれる成分
・ アンセリン:マス、カツオ、鶏の胸肉に多く含まれる成分
・ ベータ・アラニン:上記のアセリンや哺乳類の筋肉に含まれるカルノシンの分解によって生じる成分
最後に
次回は疲労感の元である炎症性サイトカインがどこに多く産生されやすいのかを書いていきます。
気になる方は是非、お立ち寄りください。
参考文献:「疲労とはなにか」 近藤一博 著
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